ベンチャー特集

母が経営者だったこともあり、「いつかは自分も起業するのだろう」と考えてはいました。しかし具体的なプランは決まらず、まずは社会性を身につけるべく、大学卒業後は大手金融機関に就職しました。実は、そこでの経験が起業のキッカケに繋がったのです。入社して2年が過ぎた頃、仕事に慣れ始めた私は、同僚から職場での悩みを相談される機会が増えていました。社内にも、セクハラやパワハラを防ぐ為に設置された窓口はありましたが、実際に連絡をするには”勇気”が必要です。「連絡することで他の同僚に自分だと気づかれてしまわないか」と思うと、なかなか一歩を踏み出せず、モヤモヤを抱えたままの方がほとんどです。そういった同僚を見ていて、「職場環境のストレスを気兼ねなく相談できる第三者機関があったらいいのに。そうだ、私がつくって力になりたい」と考えたのです。学生時代から心理学を学んでいた私は、人を分析することが好きでしたので、「これを活かして悩んでいる方々の力になりたい」と起業を決意。2年7ヶ月務めた金融機関を退職し、人材コンサルティングを軸としたYG株式会社を設立しました。

YGCareer株式会社のメイン事業となるのは、医療介護専門の人材紹介事業になります。この事業は、私がまだ社会人として就職する前から、立ち上げようと決めていました。キッカケは、父の介護をサポートしてくださった介護士さん達に出会ったことです。私が海外留学中、父が病に倒れて介護が必要となってしまい、急遽帰国を余儀なくされました。その際、介護のサポートをしてくださった介護士さんや、看護師さんとお話を交える中で、非常に多くの医療介護従事者がキャリアについて悩んでいることを知ったのです。ある方は「キャリアアップで転職を考えているが、業務に追われて仕事探しに時間を割くことができず、何年も経ってしまった」と仰っていました。私たち家族を支えて下さった医療介護に携わる方々へ、いつか恩返しがしたいという気持ちから、医療介護専門の人材紹介事業を立ち上げました。

強みとして挙げられることはいくつかあります。その中でも業界として珍しいのは、「人数制限」を設けていることではないでしょうか。すべての方に満足のいくサービスを提供する為、当社では対応できる求職者様の人数を制限させていただいているのです。当然、多くの求職者様へご案内できる方が、企業として売上には繋がるかと思います。しかし、まず優先すべきはみなさまの希望に合ったお仕事をご提案をすること。実現するには、１人に対して費やす時間をより多く取らせて頂くことが必要だと考えています。その為、当社のMVV（ミッション・ビジョン・バリュー）には、「寄り添う・拘り・スピード・質・挑戦」という言葉を掲げ、価値の高いサービス提供を心がけています。

私自身が「誰よりも向上心を持ち、誰よりも忙しくありたい」と思っています。これは、リーダーが時間を持て余していては、従業員に示しがつかないと考えている為です。私は人一倍アグレッシブに仕事をしたいですし、同時に学びの姿勢を忘れることなく、成長していきたいと思っています。ただし、同じだけ謙虚でいることを忘れずに・・ですね。たくさん仕事をしていることで威張ったり、それを従業員に求めるのではなく、私の働く姿勢が、従業員の仕事に対するモチベーションUPのキッカケにつながることを願い、日々の業務に取り組んでいます。また、極力経費をかけない事も大切にしています。必要最低限の経費で営業活動が出来れば、その分、お客様や従業員に還元できるものが多くなり、Win-Winの関係が築きやすくなると考えています。

最大のビジョンは、”家族のような会社”を創ることです。アットホームで、まるで家族の様に分け隔てなく風通しのいい社風にしていきたいと考えています。事業展開としては、4年以内に従業員20名まで拡大し、５人1チームの部署を4つほど作る計画です。それにより、これまで以上に多くの求職者の力になれるよう、企業としても成長していきます。また、環境に恵まれず学業に専念する事のできない子供達の力になりたいとも考えています。私は今、医学部入学を目指し勉強に日々打ち込んでいますが、改めて学ぶことの大切さを身をもって痛感しています。一方で、学びたくても学べない子供が世の中にはたくさんいる。そういった子供たちの力になれるような事業をいずれは立ち上げていきたいと考えています。