新宿御苑特集

株式会社パーティクルプラス

  • 空気清浄・コンタミネーションコントロール

きれいで安全な空気環境の
実現・維持に向けて

株式会社パーティクルプラス代表取締役 水野真人

株式会社パーティクルプラス 代表取締役 水野真人

パーティクルカウンター…空気中や液体中にある、目に見えない微小な埃や微粒子、不純物などを計測する機械のこと。精密機械を扱う工場などのクリーンルーム(空気中のちり・埃を除去することで空気清浄度が確保された部屋)に置かれていることが多い。日本のパーティカルカウンターの第一人者と言っても過言ではない水野さん。パーティカルカウンターはコロナの影響で俄然注目を受けることになりました。その時、その場で見えないものが見えてくる!クリーンルームだけの用途ではなく、一般室内環境、大気環境など新たな使われ方が広がり、もっと身近なものになるかもしれません。(ライター 斉藤 リカ)

親友のビジネスを日本から後押し
パーティクルカウンターをもっと身近なものへ

━起業までの経緯を教えてください

大学卒業後、計測機器メーカーに就職し、工場の生産管理を行う部署で約10年勤務した後、営業部署に異動となり、パーティクルカウンターを大きなバックに入れ、小さなホコリ一つで支障をきたすハードディスクを扱う工場などへ売り歩く営業を任せらました。クリーンルームでは限られた数のみの設置になりますが、ハードディスクではPC1台につき1台のパーティクルカウンターが必要になることに目をつけ営業を開始したんです。しかし日本ではPCの製造拠点がアジアに移っていったため、今度は半導体を扱う企業へ出向きました。0.何ミクロンの大きさでもチリ・ホコリなど不純物が入ることが許されない半導体製造。ここに新たなパーティクルカウンターの必要性が見いだされ大当たりしました。当時日本で液中パーティクルカウンターの販売を行っていたのは1社のみ。量産を目的にパーティクルカウンター工場の拠点を作るため、1ヶ月の2/3はアメリカにいました。本腰を入れて単身アメリカへ渡り、約2年後、日本本社へ戻ってきたのが52歳のとき。帰国後はパーティクルカウンター販売の部署を離れることになり、すっかり戦意喪失してしまい(笑)、転職しました。転職先は創業130年のエアフィルターを扱う会社でした。ここで再度半導体も扱うことができ定年までいました。5年ほど経って以前から交流のあったアメリカ時代の友人から新たなパーティクルカウンターのビジネスを持ち掛けられたのですが、これが今までのものとは「ちょっと違うぞ、面白いぞ」と思ったんです。そこで私のあたためていた特許を使うことを認め、新しいものづくりを後押ししました。製品の完成後、友人が海外で開業するにあたり、日本支社に近い立場で2019年にこの会社を設立することになりました。今までにない魅力溢れるパーティクルカウンターに惹かれたというのもありますが、かっこよくいうと起業の理由は…友情ですかね(笑)。私がパーティクルカウンターを扱ってから約40年、その前からありますので50年くらいの歴史がありますが、性能的には進歩はあっても広がりがない。どうしてもクリーンルームでの使用に限られてしまいます。実際は大気だろうが、室内環境だろうが、呼気だろうがなんでも測れます。生産者だけのものだったパーティクルカウンターを、生活のために使いたい。それができる新しい製品ができあがったんです。もっと時間がかかるかと思いましたが、コロナの関係でその速度は早まりましたね。

空気清浄のための機器販売、コンサルティング
「CO2換気チェッカー」はコロナ禍で需要が加速

━事業内容を教えてください

メインはパーティクルカウンターの販売と、クリーンルームのコンサルティングです。パーティクルカウンターを買うだけで空気が綺麗になるわけではないので、機器を使って何ができるかをお客様には丁寧に説明し、理解していただきます。また、場合によっては機器を導入するよりも有効な手立てがあるかもしれないということまで検討することもあります。クリーンルームだから清掃をしなくても良いわけではないですし、ゴミもでます。余計なお金をかけて建物の清浄度を上げるよりも、日常の作業改善やポイントになるところを改善していくだけで清浄度を上げることもできます。そういったクリーンルームのコンサルティングもしています。また、クリーンルームを作るだけでなく、建物(工場など)の形状からの空気がスムーズに流れるにはどうしたらいいかなども、アドバイスしています。ほかには、ある特定の医療施設と患者様の所へ空気清浄機を販売しています。昨年から呼気を感知するCO2換気チェッカーの需要が増えました。CO2換気チェッカーは「密」になると換気状態を色で知らせてくれるのもので、オフィスや教室、商業ビルや飲食店等の換気量チェックに使われるようになりました。

スペシャリストが集まる会社
技術知見・経験・暗黙知・ノウハウの提供

━御社の強みはなんでしょうか

特定の技術や知見を持ったスペシャリストが揃うプロ集団であることです。日本には素晴らしい技術を持っているのに、年齢と共に引退してしまった人たちがたくさんいます。非常にもったいないんです。以前からそうした空気清浄関係の方たちを集めたプロ集団を作りたいと考えていました。顧問にはフィルタ、クリーンコントロールをはじめ世界に数々の業績を残し、日本でNo.1の実績がある金沢大学名誉教授 大谷吉生氏を迎えております。大谷氏は日本人としては30年ぶり2人目の「国際エアロゾルフェロー賞」を受賞しました。我々の仕事では物理的な、理工学的な裏付けが絶対に必要になるんです。研究者の実績や経歴も大きなパワーになります。その道のプロが関わり監修している事業は確かなものですよ、と。お客様には、専門家たちの測り知れないノウハウをうまく活用して欲しい。信用を得るにふさわしいプロの人材が揃っているのが強みです。

新宿の喧騒から離れた緑豊かな場所

━新宿御苑で起業した感想を教えてください

面白い所ですね。緑があって気持ちが良いし、自宅からの通勤にも便利です。また新宿通りからこちら側にくると喧騒から離れられて良いですよね。都心の持っているイメージと全く違う景色がある。新宿通りから向こう側へは郵便局へ行く以外絶対に行きません(笑)。

コロナ社会で“粒子の動き”が注目を集め
室内空気管理のパラメーターとして市場が拡大

━コロナ禍の影響はどうでしたでしょうか

とても変化がありました。3密を避ける為にCO2の濃度を測るCO2換気チェッカーがとてもよく売れました。CO2の濃度が上がるということは多くの人が集まっているということです。濃度が上がると、怖いのはそこにウィルスがあるかもしれないからですよね。人が発する呼気の中に分泌物がどれくらい増えているのか?ウィルス粒子数は?…など、室内環境学会でも、粒子についてこれまで以上に注目されるようになりました。今まではクリーンルームでの使用の多かったパーティクルカウンターが、コロナをきっかけに大学や研究所でも使用するようになったんです。クリーンルーム以外での使用用途が広がるということは、私たちの希望でもありました。ある団体の実験で、シンガーが歌を歌った時にどこまで唾液の粒子が飛ぶかという実験もパーティクルカウンターを使って行うなど、様々な使い方がなされるようになりました。余談ですが、換気の良い所でのウイルスは粒子なので大気中に拡散されますが、換気のない室内で空気清浄機を使い、さらに扇風機を回すといった行為はウィルスを拡散させる原因になります。Aの場所でウィルスが発生し空気中に留まっている粒子をわざわざ扇風機でBの所まで運んでしまうことになるんですね。空気清浄機も換気もうまく利用しないといけません。

クリーンコントロールは、生産者のためのから生活者のためへ!

━今後のビジョンを教えてください

精度の高いパーティクルカウンターをクリーンルームだけでなく、医療現場や食品工場、一般の室内環境含め、人間の生活に関わりのある所で使ってもらえる計測機にしたいという強い思いがあります。より身近な場所で導入できるよう、そのためのコストダウンも含めた技術開発が今後の課題です。たとえば、人は傷んだものを食べて、お腹を壊して初めてその原因を探りますよね。なんでお腹を壊したんだろうって。そうならないようにその前の前の前で…異物やウィルスも元から絶たなきゃダメ!という考えが広がってほしい。人の目に見えない所でパーティクルカウンターが使われ、安心材料になれば良いと思います。煮ちゃえば良いから、滅菌しちゃえばいいからではなく、クリーン(清浄)な環境を作っていかなければいけないですよね。薬の世界では事故が起きないように工程を管理されているんです。食品だってそうあるべきだと思います。自分の生活している所だって同じです。「こんなに汚い所で生活をしていていいの?」と。安全な空気環境の実現と維持を伝えていきたいですね。クリーンコントロールは、生産者のためのから生活者のためへ。「out of the box!」を目指して。ちょっと先の話にはなりますがODA(政府開発援助)、JICA(国際協力機構)、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)のカンボジアでの大気環境改善プロジェクトの一員として参加することになりました。

PROFILE

株式会社パーティクルプラス 代表取締役 水野真人

株式会社パーティクルプラス代表取締役 水野真人

株式会社パーティクルプラス

代表取締役 水野真人

1973年青山学院大卒業、リオン株式会社入社

2003年米国より帰国

2005年リオン株式会社退社、ニッタ(株)入社

2011年退社、金沢大学院 非常勤講師

2011年Prtticlesplus Incorporated 社外取締役

2019年Particlesoplus Limited Japan 代表取締役

<意外な過去>

学生時代はアメリカンフットボールに没頭、1973年関東学生オールスター、

社会人チームで31歳まで現役、その後母校のコーチ、監督に就任。

 

 

法人概要

会社名

株式会社パーティクルプラス

事業所

〒160-0022  東京都 新宿区 新宿1-6-8 新宿鈴木ビルB館 3F

TEL:03-6274-8308
FAX:03-6274-8309

事業内容

■パーティクルカウンタの設計・製造
■大気質監視計装の設計・製造

HP

https://premium.ipros.jp/particlesplus/

設立

2019年3月14日

アクセスマップ

掲載日:2021.06.08

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