マエストローラ音楽院
- 音楽教室
プロ・アマ問わず、理想の音楽に出会え
世界レベルの講師に学べる上級の音楽教室
マエストローラ音楽院創業オーナー&理事長 木下 尚慈
「えっ、あの商品も、あの飲食チェーンも木下さんが企画されたんですか!?」取材中に驚きを隠せずつい大きな声を出してしまいました。名だたる企業で第一線を走り、経営の中枢に参画してきた木下さんが、企業マンを終えた後に選んだのは、閑静な新宿御苑・大木戸門の目の前に佇む音楽教室。それはどんなに忙しくても50年にわたりクラシック音楽を続けてきた氏の思いとこだわりがいっぱい詰まった場所でした。(インタビュアー 山根 聖美)
プロも通う上級音楽教室
事業内容を教えてください
2009年に新宿御苑・大木戸門の正面に「マエストローラ音楽院」を開校しました。慶應ワグネル・ソサイエティの後輩である楽院長の林徹也さん(ヴァイオリン・ヴィオラ奏者)や、自分自身が築いてきた音楽界の人脈のなかから、講師は世界トップクラスで活躍してきた方、または現役の一流演奏家らを中心に集めました。コースに柔軟性があり、ヴァイオリンをはじめとした弦楽器、管楽器、ピアノ、声楽やギターなどの定期個人レッスン、弦楽合奏や木管アンサンブルなどさまざまな楽器を組み合わせた室内楽・アンサンブルレッスン、希望の日時と講師でアレンジできるワンタイムレッスンなど、その人のスケジュールやレベルに応じてまったくの楽器初心者からプロ養成までをフォローします。現役で海外在住の講師もおり、その場合は日本に帰国した際に単発の特別レッスンを設けています。レッスン室は2部屋あり、35㎡(21畳)のサロンにはスタンウェイピアノがあり、大型スクリーンもあるのでコンサートやDVD観賞会などにも活用できます。21㎡(13畳)のスタジオは室内楽にぴったりの大きさ。両室とも音の響きを良くするために、コンクリート床面との間に10cmの間を置き、その上に無垢材を貼っており、奏者からも「床も一緒に鳴ってくれるので、心地よい響き」と好評です。サロンでは音楽院全体の定期発表会や、フルートクラスのおさらい会、講師によるコンサートなどを年10回ほど開催しており、受講生の著しいレベルアップへのきっかけとなっています。
わずか1時間のレッスンで「音が変わった」の声多数
御社の強みを教えてください
講師陣の質の高さです。世界レベルの演奏家による豊富な経験と理論に基づく熱心な指導で、受講者の問題点と可能性を即座に見抜き、一回のレッスンでも音色が「まったく変わる」と好評です。講師選びについても、その人のキャリアだけでなく私自身が必ず演奏会に足を運び、音色を聞き、さらに人間性についても判断した上でお願いしています。長く経営に携わってきましたから、話をすればその人がどんな人かというのはすぐ分かります。レッスンでもダメな部分ばかりを指摘するようなタイプの講師ではなく、その人の良いところを伸ばすような指導をしてくださる講師が揃っていると自負しています。「マエストローラ」は私が考えた造語で、専門家・芸術家への敬称であるマエストロ(男性)・マエストラ(女性)がいる音楽教室ということです。現在の受講者は7~8割がレベルの高い音楽を求めるアマチュアの方、2~3割がプロまたはプロ志望の方です。
閑静な御苑を眺められ、居心地の良い場所
新宿御苑に開校してみてどうでしたか?
新宿になにか思い入れがあってこの場所を選んだというわけではありませんでした。開校にあたって、受講者の平均的なタイプとして想定していたのは、自分も所属していた慶應ワグネル・ソサイエティの現役・OB奏者たちだったので、彼らの住まいから通いやすい場所としてリサーチしたのが表参道か新宿でした。表参道は賃料が高すぎるということで断念し、新宿に決めました。新宿といえば少し治安に心配なイメージもあるかもしれませんが、緑豊かな新宿御苑を眺めながらくることができ、周辺のお店も品のある素敵なところばかりで、講師や受講者の方に場所でなにか文句を言われたことは一度もないですね。このあたりは本当に平和で居心地が良いです。
音楽は心の栄養、だから途切れさせない
コロナ禍において、どのような変化がありましたか?
2020年4月・5月は休校しましたが、6月から徐々に再開に向けて動き出しました。半地下の教室ですが窓があるので常時換気し、空間除菌脱臭機も常時稼働、講師・受講者間では透明のパーティションを設けるなどして対策しています。Zoomを使ったリモートレッスンも行っていますが、演奏の場合はデスクワークとは違って少し難しい部分もあります。たとえばWi-Fiですと音が途切れてしまうこともあるので有線接続をお願いしたり、自宅だと大きな音が出せない環境の方もいます。ですが「この先生だからレッスンを受けたい」という受講者の方も多いので、試行錯誤しつつ受講者の希望に沿っていきたいと思っています。音楽家のコロナ禍における苦労は報道の通りです。演奏する側も、聴く側も、社会的に音楽が必要な人たちがたくさんいます。音楽は心の栄養。だからコロナに負けず、絶対に閉めないぞ、という思いでやっています。
トップレベルのレッスンをさらに広げる
今後のビジョンを教えてください
よりさまざまな受講者のニーズに沿うために、さらに講師陣に厚みを持たせたいですね。とはいえ、世界トップレベルの講師で、さらに人間性も優れた方となると、誰でもOKという訳にはいかないので、常にアンテナを張っています。また、ウェブサイトなども分かりやすく作っていますが、2021年からマエストローラ公式instagramも最近始め、どんなレッスンが行われているのかがより手軽に動画で見ていただけるようになりました。コロナ禍前の賑わいが完全に戻るよう、そして音楽院を訪れたたくさんの人にいいね、やる気が出るね、楽しいねと言っていただけるよう、これからも工夫を凝らしながら運営していきます。
最後に、この新宿御苑特集に期待することがあればお聞かせください
これまでターゲットは首都圏の広域から新宿まで通ってくる方でしたので、ウェブ告知が中心で、周辺にチラシのポスティングなどもやったことはありませんでした。ですからこの周辺の経営者の方との出会いは新境地でもあります。普段レッスンに使用しているサロンは、レンタルスペースとして交流の場に活用することもできるので、コロナが過ぎたら、ぜひ新宿御苑の皆様の集まる場として使ってもらえたら嬉しいですね。サロンでは飲食もできますし、個人的にはワインを嗜む「葡萄の騎士の会」会長なども務めていますので、役立てられるかもしれません。
PROFILE
マエストローラ音楽院創業オーナー&理事長 木下 尚慈
◆経歴
香川県小豆島出身、慶応義塾大学経済学部卒
キリンビール(株)入社、ロスアンゼルス駐在員を経て、新規事業、外食・飲料・M&A担当
スタンフォード大学・ビジネススクール卒業(M.S. in Management)
キリンシーグラム(株)企画課長、ワイン部長
UCC上島珈琲(株)取締役マーケテイング開発本部長、取締役財務経理本部長、常務取締役、専務取締役(営業・マーケテイング統括)を歴任
欧州ユニリーバ入社。日本リーバ取締役事業開発本部長
日本リーバ・マネージングダイレクター食品事業本部長
日本リーバ(現、ユニリーバ・ジャパン)代表取締役社長
日本石鹸洗剤工業会理事・広報委員長、日本マーガリン協会理事
日本紅茶協会・会長
ユニリーバ・ジャパン社長を退任後、(株)きのした設立、代表取締役社長
2007年 博報堂アドバイザーに就任(2年間)
2009年(株)きのしたの事業としてマエストローラ音楽院を開校。
◆その他
・NGO 日本国際ボランティアセンター(JVC)理事
・葡萄の騎士の会・会長(Federation Internationale des Confreries Bachiques日本支部)
・Confrerie Chevaliers du Tastevin (ブルゴーニュワインの騎士団) 会員
・西宮交響楽団、ロスアンゼルス日系交響楽団、ワグネルソサエテイOBオーケストラ、しもたかフィル、キリン・フィルを経て、シニアアンサンブル・ワグネル演奏委員長
◆趣味
クラリネット、室内楽演奏のほか、毎日のビールとワイン、読書、散歩
施設概要
名称 | マエストローラ音楽院 |
---|---|
住所 | 東京都新宿区新宿1-1-1 ワコー御苑ビルB1 東京メトロ丸ノ内線/新宿御苑前駅から3分 都営新宿線/新宿三丁目駅から10分 |
TEL | 03-6457-4546 |
HP |
休日は仕事をするかクラリネットを吹くか…
前進し続けたサラリーマン時代
起業までの経緯を教えてください
自然いっぱいの香川県・小豆島で醤油を作る家に生まれました。10歳の頃に映画「二十四の瞳」の撮影が地元で行われ、ヒロイン・大石先生の息子役ということで出演したこともありました。15歳で上京、慶応高校でクラリネットに出会い「慶應義塾ワグネル・ソサイエティ・オーケストラ」で活動。社会で経験を積み、いつか父の会社(醤油製造会社)を超えたいという野望を抱きつつ、慶應大学卒業後はキリンビールに入社。ロサンゼルス駐在員などを経て一旦休職し、スタンフォード大学でビジネススクールを卒業。職場復帰後はワインの商品開発などに力を入れました。キリンビールには21年勤めましたが、その後UCC上島珈琲に転職し、取締役マーケティング開発本部長として「UCCブラック無糖」などを世に送り出し、約7年で常務取締役、翌年には専務取締役に。その後は日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)取締役事業開発本部長として「リプトン紅茶」のピラミッド型ティーバックを日本で採用するなどし、2004年に代表取締役社長へ。退任後、2007年に株式会社きのしたを設立しました。企業マンとして仕事に邁進してきましたが、大企業で株主のために働くのではなく、いつか起業して自分だけのビジネスをやりたいという思いがあったんです。「きのした」を立ち上げてから何をしようかとしばらく考えていました。商品を輸入して売るような事業であれば利益も出やすいとは思いましたが、それじゃちょっと味気ない。であれば、趣味でやってきたクラシック音楽に人脈もあるので、理想の音楽が演奏できるプロ・アマを育てるため、世界で初めての上級音楽教室をやろうと考えたんです。