通常インタビュー

パリジェンヌのように堂々と
おしゃれを“着こなす”コーディネートを

株式会社m sugawara

オーナー・デザイナー 菅原実花

ファッションデザイナーブティック経営

株式会社m sugawara オーナー・デザイナー 菅原実花

昔も今も、港区青山といえば、ラグジュアリーで“ワンランク上のおしゃれ”というイメージ。そんな街の一角にある「m sugawara」の店内は、まるで海外のファッション雑誌から飛び出したようなカラフルな洋服、雑貨が所狭しと並び、女性ならきっと誰もがときめいてしまう空間です。かしこまった雰囲気はなく、居心地が良いのは、きっと菅原さんの手作りの愛が商品のそこかしこから溢れてきているのだと思いました。どのアイテムも素敵すぎて、私もついワンピースを購入してしまいました!(インタビュアー 山根聖美)

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帽子のフリマ販売から、憧れの青山出店へ

━ 起業までの経緯を教えてください

今の私があるのは、母の影響が大きいと思います。裁縫が得意だった母は、小さな頃から可愛い洋服をたくさん作ってくれましたし、私がアニメキャラクターの服を、兄がスポーツブランドの靴下がほしいと言えば、それを刺繍で作ってくれるような人でした(笑)。庶民の暮らしでもそれを手作業で楽しむようなところがあり、いつも身近に愛情たっぷりのハンドメイド品が身近にあったからか、おしゃれが大好きになった私は18歳で大手アパレルブランドの販売員に。店長、エリアマネージャーまで担当し、結婚のため退社したタイミングで数ヶ月フランスに滞在しました。その時見たパリジェンヌたちの佇まいが本当に素敵で。たとえば高齢のおばあちゃんがベレー帽をカッコよくかぶっていたり、洋服の形やカラーも豊富。ファッションを服に「着られる」ではなく「着こなす」様子に突き動かされました。帰国後、結婚し家事や育児をしながら帽子作りをスタート。埼玉県を中心にフリーマーケットで販売してみたら、1日で数十万円売り上げることもありました。さらに今でいう都心のポップアップストアのような期間限定店舗にも出店すると、行列ができるほどの賑わいを作ることができ、東京の一等地で勝負する自信がつきました。その後、青山ベルコモンズに帽子屋「m sugawara」を初出店。ベルコモンズ閉店後は隣の4階建ビル一棟をまるごと借りて、洋服の割合も大幅に増やし、ビューティーサロンも作るなど事業拡大しました。しかし、スタッフも増え、順調に会社が育っているなかで立ちはだかったのがコロナ禍。自粛傾向でおでかけ服の需要が一時的に狭まり、方向転換を余儀なくされました。それでも青山は多くの常連のお客様に認知されていいますし、私自身の愛着も強い場所。2023年6月に再スタートを切るべく新たな南青山ブティックと、さらにオンラインブティックもオープンし、SNSなども活用しながらお客様にコーディネートを提案しています。

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「生地の融合」で鮮やかな世界観。セミオーダーも

━ 事業内容を教えてください

アトリエで洋服や帽子、バッグなどを自社制作し、私自身がセレクトして仕入れているファッションアイテムも含めて幅広く取り扱っています。元々は帽子が中心のブティックでしたが、今は洋服と帽子は8:2くらいの割合です。オリジナルブランドのアイテムは、生地の使い方に特徴があり、柄物や色物、ヴィンテージ素材などを組み合わせてデザインしています。同じ色でも素材に変化をつけるなどして、他にはないニュアンスがあると思います。さらに気に入っていただいたデザインがありましたら、サイズ違いでお作りしたり、生地を別のカラーや柄に変えることのできるセミオーダーも承っています。試着しているお客様を拝見して全体のバランスから「少しスカート丈の長さを変えちゃいましょうか」なんて声をかけることもありますし、購入いただいたあとも、お洗濯などでほつれが出た場合はご相談いただけるとお直しできる場合もあります。私が作っているオリジナルブランドだからこそできるサービスだと思っています。

株式会社m sugawara

SNSでコーディネートを毎週配信

━ 御社の強みは何でしょうか

ブティックにある豊富なアイテムを使い、帽子から足元までのコーディネートの提案を積極的に行っています。以前の道路に面したブティックでは、外から見えるマネキンに着せたコーディネートが大変好評で、私がおすすめする着こなしを楽しみにしてくださるお客様がたくさんいました。今はとくにinstagramやLINEアカウントなどで週に10体はコーデを作って配信し、そのままオンラインショッピングで手軽にお買い物を楽しんでいただけるようにしています。セットプランはお安くできることもあり、大変好評です。コーディネートの基本スタイルは、パリジェンヌの様々な生活シーン。ランチをしていたり、お散歩をしたり、美術館にいたり…。そんな景色を思い浮かべてデザインしています。みんながお揃いのように着ている服はイヤ、今よりもちょっとだけ「自分を上げたい」。そんな気持ちをサポートしています。お客様からは「m sugawaraコーデを着て街を歩いていると、お友達から褒められたり、知らない人から素敵ですねと声をかけられたりすることが多い」という嬉しいお言葉もよくいただきます。

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ファストファッションとは違う“ぬくもり”を

━ 仕事をするうえで大切にしていることはなんでしょうか

作品やブティックの雰囲気づくりで重視しているのは「人のぬくもり感」ですね。裁縫好きだった母、植物好きでよく一緒に土いじりやお花摘みをした祖母など、家族からの影響を強く受けている私は、都会のコンクリートジャングルの中でも、どこか人の営みを感じさせるような手作りの良さを大切にしたいと思っています。百貨店のお堅さとは違ったアットホームな接客もスタッフ全員で心がけています。また、フランスのファッションをベースにしていると言っても、その人らしい着こなしがあります。たとえば帽子などは、ヨーロッパの方とは頭の形が違うので、日本人の場合はコサージュなどを使うことでバランスが整います。ホテルディナーでも引けを取らないラグジュアリーなコーデも、シューズやバッグを変えることでカジュアルなお散歩にもぴったりな着こなしになります。せっかく気に入っていただいたアイテムを長く愛していただくために、着やすさやホームケアのしやすさなども含めてご提案し、喜んでいただけることが一番のやりがいですね。

株式会社m sugawara

もっとたくさんの大人女子のために

━ 今後のビジョンを教えてください

今、準備を進めているのが、オリジナルブランドのエプロン制作です。コロナ禍でおうち時間が増えたときにお客様からのご要望もあり、自宅でもおしゃれを楽しんでいただくためのファッションアイテムとして企画を進めてきました。もうすぐお客様にもご覧いただけるようになると思います。もうひとつ、m sugawaraの東京進出の足がかりとなったポップアップストアを、東京以外の都市部で展開したいという思いもあります。今のブランドの強みを生かしながら、違う土地で新しいお客様にも知っていただきたいです。今後もここ青山で、パリジェンヌが通うような街角のブティックであり続けながら、全国の大人の女性の気持ちに寄り添い、自分らしいおしゃれを楽しんでいただくためのお手伝いをしていきたいですね。

PROFILE

株式会社m sugawara オーナー・デザイナー 菅原実花

株式会社m sugawaraオーナー・デザイナー 菅原実花

【住所】
〒107-0062
東京都港区南青山2-26-36 2F
東京メトロ銀座線 外苑前駅(1a出口)徒歩1分

【TEL】
03-3470-1120

【営業日】
木金土日

【営業時間】
11:00〜19:00

【URL】
https://msugawara.jp/

【SNS】
公式インスタグラム

2023年8月7日 公開

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