通常インタビュー

金融・不動産取引のテクノロジー化を牽引
GAFAを超えるプラットフォーマーを目指す

グローシップ・パートナーズ株式会社

代表取締役 松井晴彦

経営コンサルティング・システム開発

グローシップ・パートナーズ株式会社 代表取締役 松井晴彦

世界に溢れるホームページや企業が持つ膨大なデータが、一体どこにあるか知っていますか?松井社長からの質問に、言葉を詰まらせてしまいました。デジタル化されたあらゆる情報は、目には見えないクラウドと呼ばれるひとつのプラットフォーム(基盤)上に集約されており、世の中のIT取引のすべては法律に準じてそれらを繋ぎ、効率化するサービスで、まだまだ未開拓な領域も多いのだそう。独自性のある事業を分かりやすく言葉を選びながら教えてくださいました。赤坂見附の綺麗なビルにスケルトンなオフィスが印象的でしたが、業務拡大に伴い移転も視野に入れているとか。(インタビュアー 山根 聖美)

グローシップ・パートナーズ株式会社

ビジネスコンサル一筋で30年 雇用をつくり社会貢献を

━ 起業までの経緯を教えてください

1991年にアンダーセン・コンサルティング東京事務所(現アクセンチュア)に入りビジネスコンサルタントとなり、ずっと同じ仕事で、もうすぐ30年になりますね。サラリーマン生活は7年で卒業し、それ以降は社長業一筋です。2012年からはBIG4と言われる大手監査法人が立ち上げるコンサルティングファームの代表も務め、2016年に「グローシップ・パートナーズ」を創業しました。創業の理由は、コンサルに従事していくなかで、次第に「もっと社会貢献したい」と意識するようになったからです。自分ができる一番の社会貢献は、雇用をつくること。いま世界では、ITテクノロジーの進化によりあらゆるものがボーダーレス化していくなか、その仕組みのほとんどがGAFA(米国の主要IT企業であるGoogle、Amazon、Facebook、Appleの4社の総称)と呼ばれる巨大プラットフォーマーに基盤を押さえられています。日本から、それらに対抗できるような人材を育て、輩出できる会社にしたいという思いで経営しています。

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資金提供者と事業者をダイレクトに繋ぐ 投資型クラウドファンディング

━ 事業内容を教えてください

コンサルティング会社として企業の新規ビジネスを創り出すために、ITの活用は避けられない時代ですから、当社ではデジタル技術をベースとしたビジネス支援を行っています。メイン事業のひとつは「CrowdShip Funding」という投資型クラウドファンディングシステムです。クラウドファンディングといえば、一般的には人の活動や製造業などの目的に賛同した人が投資するイメージがあるかもしれません。我々が手掛けているのはそれとは異なり、フィンテック(ICTを駆使した金融商品・サービス)の分野です。シンプルに言えば、資金を提供したい人と、資金を集めたい人を、銀行などを介さずに直接繋ぐという仕組みです。一部上場企業でも、銀行などへの中間コストをかけずに直接クラウドファンディングサイトを開設し、資金を集める動きが活発化しています。国内の個人金融資産約2000兆円のうち、1000兆円は行き場がなく銀行に眠っていると言われています。低金利な銀行に預けるよりも、少しでも高い利子がつくのであれば企業に貸し付けたいと考える方は多いです。また不動産業界でも、2017年に不動産特定共同事業法が改正され、個人投資家が少額からでもインターネットを使って直接不動産を購入できるようになりました。これらの新たに広がりつつあるCtoCの取引をビジネス面からシステム導入までワンストップで支援します。現在、このシステムを約30社の企業に導入いただいています。いまとても引き合いの多い分野ですね。

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注目集めるブロックチェーン技術 有価証券をトークン化

━ 他に力を入れている事業はありますか?

もうひとつ、ブロックチェーン(分散台帳)という技術を用いて、証券などの資産に関する機密情報をトークン化する事業にも力を入れています。トークン化とは、重要な機密情報を、暗号技術などを組み合わせて非機密情報に書き換え、保護するものです。有価証券はトークン化することで安全性・信頼性を格段に上げることができます。デジタル証券なんて呼ばれることもありますね。こうしたセキュリティトークンはクラウドファンディングにも相性が良く、さらに必要に応じてAI(人工知能)などとも組み合わせ、お客様に提供しています。

グローシップ・パートナーズ株式会社

経営・法律・IT すべてを包含するフルスタック・コンサルタントが揃う

━ 御社の強みはなんでしょうか

グローシップ・パートナーズの目指す働き方として「フルスタック・コンサルタント」を掲げています。これは複数のスキルを持つフルスタックエンジニアという言葉の造語なのですが、当社では基本的に事業計画からプログラミングまで、1社に対し1人のコンサルタントが全て担当します。もともと海外の巨大プラットフォーマーに匹敵するような人材を輩出したいというのが創業の理由でしたので、経営やビジネスに関する知識と、ITの経験をハイレベルに持ち合わせているコンサルタントを育てています。ですから、当社では仕事を外注するということは一切なく、すべて自前で行います。法律やITなど、分野別に競合はいても、ワンストップで行っている会社はほとんどありません。そういう育て方をしているコンサルティングファームも知っている限りではありませんね。現在のスタッフは平均20歳代の起業精神に満ちた優秀な若者ばかり。私自身も未だに多くの現場に出ています。ビジネスプロセス、法律、ITを別注せずにワンパッケージで提供できるので、クライアントにとってもコストダウンに繋がっています。

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仕事に対して「誠実であること」

━ 仕事をするうえで大事にしていることはなんでしょうか。

「誠実である」ということです。自分がビジネスにおいて最も大切にし、社員にも心がけてほしいことですね。業務をフルスタックで行っているので、1人が負う責任が大きくなるぶん、リスク管理は非常に重要になります。職場ではフラットに相談できる環境を作っていますが、なにか意思決定をしなければならないとき、それは会社にとって良いことなのか、または個人にとって良いことなのかを考え、誠実に判断するよう伝えています。社長として法律面では「韓非子」、信義則については孔子の思想など参考にしていますが、ビジネスは最終的には人間関係です。誠実に仕事を行い、クライアントから固い信頼を得ていれば、様々なことがスムーズに運ぶはずです。

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同じ基盤のデジタル情報を繋ぎ合わせ、本当に必要で実効性のあるサービスを

━ 今後のビジョンを教えてください

「Banking as a Servise (BaaS)」(銀行と同様の機能やサービスがインターネットを介して利用できるサービス)は、これから取り組みたいことのひとつです。たとえば現在、海外送金はとても手数料が高く、外国人労働者の方が自国に仕送りするにも大きな弊害になっています。ですが仮想通貨でやりとりをすれば、これらの中間コストをゼロにすることができます。BaaSとしてテクノロジーを使った国際間の送金決済、さらに様々な法律に準じて資金提供者と資金受給者を最適なアプリケーションで結びつけるようなシステムを作っていきたいですね。また、コロナ前は海外企業のサポートも行っていました。いったんストップしてしまいましたが、自らがプラットフォーマーとして海外市場で日本の影響力を発揮できるような支援を、コロナ明けにはまた再開させたいですね。

PROFILE

グローシップ・パートナーズ株式会社 代表取締役 松井晴彦

グローシップ・パートナーズ株式会社代表取締役 松井晴彦

〒107-0052
東京都港区赤坂4-8-20 ASOビルディング4F
TEL:03-6434-7788 / FAX:03-6434-7789

事業内容:経営戦略コンサルティング・ビジネスコンサルティング・ITコンサルティング

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2021年8月18日 公開

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