通常インタビュー

学校を卒業して旅行会社に就職し、そこで約20年間働いていました。出世意欲もあり、がむしゃらに働いた結果、役員にまで就任。しかし、インターネットの台頭で旅行会社の景気が悪化。本業だけでは成り立たなくなり、新規事業を立ち上げるもなかなか結果が出せずモヤモヤとした日々を過ごしていました。そんな中、あるセミナーに参加したことがきっかけで、起業を意識するようになり、次の仕事も決まってない状況で会社を退職しました。

その後は、約1年間様々なセミナーや交流会に参加し、1,000人くらいの人と会いました。その中で、脱サラをして田舎で農業とクラフトビールやワイン作りをしながら生活している人との出会いがありました。色々な人と出会いましたが、この出会いに運命を感じた私は、その人が住む田舎に訪問。そこで地元の人たちに鍋料理やお酒でもてなしてもらい、とても元気になる自分を感じることができました。いま思うと都会での仕事や生活に疲れてしまっていた中で、田舎でのこの体験が癒しになったのだと思います。その後、この経験をもっと広めたいと思い、「人に会いに行くツアー」を合言葉にあうたび合同会社を設立し、起業しました。会社名は「会う」と「旅」からきています。

人に会うことを目的としたツアーを中心に事業展開をしております。またツアーで訪問して、出会った農家や酒蔵から商品を仕入れし、毎週金曜日に丸の内でマルシェを開き、物販事業も行なっております。実際に私が出会った人たちから仕入れをしている為、生産者の人となりやストーリーも添えて販売できる為、安心をお届けできるのが特徴です。最近はテナントを間借りしてのカレー屋を開業し、そこで仕入れたお酒などを提供しています。

また企業向けの研修である「あうたび研修」を開催しています。これは企業の若手社員を中心に行なう交流体験型の研修旅行で、地元の人たちの交流や、社員同士でのグループワークを中心に、コミュニケーション能力の向上を目指す研修です。

一番の強みは、人と人との繋がりです。あうたびツアーやあうたび研修の開催を通じて、人との繋がりが全国に広がっていますので、人脈から新たな人脈ができたり、新たな企画が生まれたりと良い連鎖が生まれています。また、私と同世代のいわゆる「おじさん世代」のお客様が多いのも大きな特徴です。大人になると交友関係が限定的になりがちですが、あうたびでは、同じ世代が集まり参加者同士の新たな繋がりの場にもなっています。お酒のコンテンツが多いのも、自分と同じ世代のリピーターが多い理由かもしれません。

あとは私自身『人が好き』で誰とでも仲良くできるということも強みだと思っています。ツアーに協力してもらう現地の人たちとの打ち合わせは、遠方であれば何回も通うことが出来ない為、できるだけ一回の打ち合わせですり合わせをする必要があります。その時に誰とでも仲良くできるというスキルが役に立ち、懐に飛び込むことが出来る為、円滑に仕事を進めることができています。

ツアーに参加して頂いたお客様や、ツアーに協力して頂いた現地の人に感謝を伝えることを一番大切にしています。事務的なことはあまり好きではないので、できれば直接電話をして感謝の気持ちを伝える様にしています。特に田舎の人たちとのやり取りの際は、電話をすることが多いですね。電話をすることで、メールでは伝わらない感情を伝えることができ、その後のやり取りも円滑にできると考えています。

弊社をプラットホームにして『田舎の窓口』になっていきたいと考えています。ありがたいことに弊社のあうたびツアーやあうたび研修はお客様からの満足度が高く、非常に高いリピート率を誇っています。また受け入れをしてくれた現地の人からも「受け入れをして楽しかった」との声も頂いています。こういった声をこれからも大事にし、弊社の事業で田舎を元気にしていきたいですね。また弊社のツアーに参加したことによって田舎を気に入ってもらい、若い人が田舎に移住するきっかけになれば、これほど嬉しいことはないと思っています。あとは私と同世代のおじさん世代にも元気になって欲しいと思っています。私も息苦しかった会社員時代とは違い、今は「人生は楽しい！」と心から感じています。おじさん世代にも同じ様な気持ちになってもらえるようなことも企画していきたいですね。