通常インタビュー

あなたのお庭のコンサルタント

株式会社やましたグリーン

代表取締役 山下 力人

造園

株式会社やましたグリーン 代表取締役 山下 力人

剪定だけにとどまらず、伐採せざるをえなくなった庭木を自社で引き取り、植物園を開き、新たな里親を募集するという「庭木の里親」といった、新しい試みにも挑戦している植木職人の山下様からお話しを伺いました。

あなたのお庭のコンサルタント

— 植木職人というと“木を切る”という漠然としたイメージになってしまうのですが、実際にはどのようなことをされているのでしょうか

基本的にはその通りですが、やましたグリーンでは庭づくりを始める前の打ち合わせに特に重要視しています。
というのも、お庭のご相談をいただく場合、「庭が雑然として困っているからどうにかしてほしい」というように、漠然とした形でのご相談が多いんです。

定期的に庭木のお手入れをご依頼いただいている方には、「いつものように」という言い方で伝わることもありますが、初めてのお客様の場合は何から手を付けていいのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。

そのようなお客様にご満足いただけるよう、例えば家族構成やペットの有無など、お客様のライフスタイルをヒアリングして、ニーズに合ったご提案をさせていただきます。
まずは現状のご不満に対する解決策を。さらにプラスアルファのご提案ができるように打ち合わせによるヒアリングを大事にしています。

子供の頃からの憧れ

— 植木職人になられた経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか。

子供の頃からの憧れでした。
小さなころに見たテレビ番組に出ていた植木屋さんがはんてんを羽織っていて、それが子供ながらにすごくカッコよく見えたんです。
その頃から漠然と植木職人になりたいなぁと思っていました。
その後、運が良いことに、高校時代の友人の親が植木屋さんだったので、高校生当時、学校が長期休みの時にアルバイトをさせてもらっていました。
そのまま高校卒業後はそちらで働かせていただきました。

— ご友人のご紹介とは言え職人というと、修行が厳しそうですが…

そうですね(笑)はじめはもちろんハサミはなかなか持たせてくれませんでしたので、もっぱら掃除担当で、「見て学べ」という感じでしたね。
しばらくして、ハサミを持たせてもらうようになったのですが、当時のいただいていた主な仕事は、公園の樹木の整備や街路樹の剪定などの公共事業の請負でした。
個人宅のお庭の手入れではないので、剪定した植木を見た人がどう思っているか、うまくできているのかといった感想が気になって、モヤモヤしていました。

株式会社やましたグリーン

子ども達の憧れる植木屋さんへ

— そういった葛藤みたいなものがあったということでしょうか。その後会社を興されるまでの経緯についてお聞かせいただけますか。

そうですね。自分の仕事を見てもらいたいという葛藤みたいなものはあったと思います。そういう経緯もあり、30歳をきっかけに独立しました。いわゆる一人親方です。

しかし気持ち一つで独立できるほどどの業界も甘くはないと思うんですが、当時の私も「自分で仕事を取ってくる」という部分でつまずきました。
ご縁があって公共事業を受け持つ大きな造園会社様からお仕事がいただけるようになって、その後しばらくその下請けの仕事が続けていました。
独立当初は「とにかく沢山の仕事をこなさなきゃ」という事ばかりが頭にあって、気がついたら仕事がだんだん好きじゃなくなっていたんですね。今思うと、あの時はキツかったです。

そんな中、ある大きな事件が起きたんです。
大木の伐採の仕事だったのですが、伐採した大木が倒れてその下敷きになってしまい、その際に首の骨を折ってしまいました。
幸いにも一命は取り留めましたが、2ヶ月寝たきりの状態で過ごさなければならない状態でした。
しかしそんな状態でも意識はありましたし、今までの忙しさから一転して時間が有り余る状況だったので、仕事についてゆっくり考える時間を持てました。

そこで「今やっていることが自分のやりたかったのかな」という考えから、「お客さんの喜ぶ顔が見たいんだ」と気付きました。

入院中に法人の勉強をして、いまの会社を立ち上げました。

— 今後の夢はありますか。

植木屋さんを子どもが憧れる職業No.1にするのが夢です。
今、子どもたちの憧れる職業の上位は無難なものばかりですよね。この業界に入ってくる若い子達の目も輝いていないんです。

はんてんを羽織って仕事をして、それを見た子ども達に「あの人達カッコいい」と思ってもらえたら嬉しいです。それで会社のロゴも猫をモチーフにしました。子ども達が少しでも興味を持ってくれたら嬉しいですね。

他にも、女性の職人チームを作ろうと思っています。お母さん達に植木屋さんをしてもらい、子どもが見て「うちのお母さんカッコいい」と思うんじゃないかと考えています。

子育てをしながら仕事をする仕組みづくりが課題ではあるのですが、その課題を克服して女性の職人チームを実現できたら、いままでの典型的な植木屋さんのイメージが変わると思います。

— たしかに植木屋さんのイメージがかわりますね。他にも面白い取り組みをされてるとお聞きしましたが?

「庭木の里親制度」というものを考えています。
引越しや増築などで、思い出深い庭木をやむをえず伐採しなければいけないときがあるんです。
捨ててしまうのは忍びないけどそのままにしておくこともできずにっていうご相談がたまにあるんですね。そういった庭木をうちが引き取っています。

— どうして引き取りを始めたのでしょうか

ご家族の思い入れのある庭木を切るときの悲しそうな顔がつらいんです。
それに、木は生き物です。「守っていかねばならない」という使命感を持っています。

— しかし、引き取ると言っても場所に限りがありますよね?

そうですね。だから「里親」制度なんです。
今後は引き取った庭木を、欲しいという方々の元へお届けする活動をやっていきます。

「庭木の植物園」

— 今後どのように庭木の里親制度を展開していく予定ですか

引き取った庭木を集めて植物園を作ろうと思っています。
元々大切にしていたご家族の方が気軽に会いに来られるようにしたいですし、引き取りを考えている方が実際に庭木を見てじっくりと考えられるようにしたいです。

そうしていくうちに木が循環していくと嬉しいです。

見た目や物腰からとても柔和な印象をもった山下様ですが、庭木に対しての並々ならぬ想いや、植木職人という職業に対する強いこだわりが、お客様へのサービスを作っているのだと感じました。本日はありがとうございました。

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